まつき歯科医院では、失われた歯の神経や血管組織の再生を目指す「自己歯髄幹細胞を用いた歯髄再生治療」に取り組んでおります。歯髄再生医療に関する学術研究や臨床経験に基づき、適切な適応判断から精密な無菌処置、術後の経過観察まで一貫した診療体制を整えています。
精密な診断に基づく適応判断

歯髄再生治療は、すべての症例に対して一律に行える治療ではありません。当院では、治療を開始する前に詳細な診査・診断を行い、本治療が真に適応可能であるかを慎重に見極めています。歯科用CTによる3次元画像診断を用いて歯根の形態や根尖病変の広がり、根管の解剖学的構造をミリ単位で把握します。あわせて、歯髄電気診や寒冷診による知覚検査、歯周組織の検査を実施し、患部の感染状態や歯の保存可能性を総合的に評価します。また、幹細胞を採取するためのドナー歯(親知らずや生え替わりの乳歯など)の有無や、患者様の年齢、全身状態なども考慮した上で、適応の可否を判断いたします。
マイクロスコープ
下での慎重な処置
歯髄再生治療の成否を決定づける極めて重要な要素が「根管内の徹底した清浄化と無菌的環境の確保」です。当院では、処置の全工程においてマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用し、視野を肉眼の数十倍に拡大して根管内を直接観察しながら処置を進めます。さらに、ラバーダム防湿を徹底し、細菌を含む唾液の混入を物理的に遮断します。根管内の感染源を機械的・化学的に徹底洗浄した後は、滅菌ペーパーポイントを用いて根管内細菌培養試験を実施します。インキュベーター内で数日間培養を行い、細菌検査の「陰性」を確認した上で幹細胞の移植を行うなど、感染対策を徹底しています。
使用する材料についての考え方
再生医療においては、移植する細胞の生存環境を整え、緊密な封鎖を実現するための材料選定が欠かせません。

自己歯髄幹細胞とコラーゲン・G-CSF(細胞成長因子)
提携する細胞培養加工施設(アエラスバイオ社)にて安全に培養・保管された患者様ご自身の歯髄幹細胞を使用します。移植時には、細胞の足場となるコラーゲンや組織再生を促進する成長因子を混和して根管内に填入します。
バイオデンチン・MTAセメント
細胞移植後の上部封鎖には、高い生体親和性と封鎖性、抗菌性を持つ生体材料(バイオデンチン等)を採用しています。緊密な封鎖層を形成することで、外部からの細菌の再侵入を防ぎます。
術後の経過観察体制

歯髄再生治療は処置を行って終了ではなく、移植後の組織がどのように反応し、治癒していくかを長期的に追跡することが不可欠です。当院では、術後定期的にご来院いただき、歯髄電気診や寒冷診による神経知覚の回復度合いの確認、およびデンタルエックス線写真や歯科用CTによる画像評価を実施します。根尖病変の消退や根管の狭窄傾向、歯根壁の硬組織形成などを経時的に観察・記録し、再生状態の再評価を行います。あわせて、お口全体の健康状態を保ち、むし歯や歯周病の再発を防ぐためのプロフェッショナルによる定期的なメンテナンスをご案内しております。
治療における限
界とリスクのご説明
当院では、歯髄再生治療の可能性だけでなく、現時点における科学的知見の限界やリスクについても包み隠さずご説明いたします。
自由診療(保険適用外)の再生医療
本治療は、厚生労働省に第二種再生医療等提供計画を受理された医療機関にて実施される自費診療です。
治癒反応の個人差と組織の判別
治癒の経過には個人差があり、知覚反応の回復度合いにはばらつきがあります。また、根管内に形成された組織が完全な歯髄組織であるか、あるいは骨様組織や線維性組織であるかを臨床的に完全に区別することは現在の医療水準では困難とされています。
再治療の可能性
十分な治癒反応が得られない場合や、再感染が生じた場合には、従来の根管充填や補綴処置へ移行する可能性がございます。十分なインフォームド・コンセント(説明と同意)を行い、患者様が納得された上で治療を進めてまいります。
