歯髄再生治療

歯髄再生治療

まつき歯科医院では、「可能な限り天然歯を守り、寿命を延ばす」ためのアプローチとして、歯髄(歯の神経)を残す治療および歯髄再生治療に取り組んでおります。従来の根管治療にとどまらず、再生医療の知見を取り入れた診療をご案内いたします。

歯髄(歯の神経)を残す治療

歯髄(歯の神経)を残す治療

歯の神経である「歯髄」は、単に痛みを感じるだけでなく、血管を通じて歯に酸素や栄養を供給し、免疫反応によって細菌感染から歯を守る極めて重要な組織です。神経を失った歯は水分や栄養が行き渡らなくなり、強度が低下して噛み合わせの力で割れやすくなります。さらに感覚を失うため、むし歯が再発しても自覚症状が出にくく、気づいたときには抜歯を余儀なくされるケースが少なくありません。そのため当院では、むし歯が深く達している場合でも、安易に神経を抜くのではなく、歯髄の生存能力を最大限に引き出して温存・再生させる治療を重視しています。

歯髄温存療法の
適応条件について

すべての症例で神経を残せるわけではなく、歯髄の炎症状態や感染の範囲を見極める詳細な診査が不可欠です。

直接覆髄法・断髄法などの適応

むし歯による神経の露出が小さく、歯髄の炎症が可逆的(治癒可能な範囲)にとどまっている場合。

自己歯髄幹細胞を用いた歯髄再生治療の適応

不可逆的な歯髄炎や根尖性歯周炎などにより抜髄が必要となった歯、あるいは若年層の歯根未完成歯などが対象となります。また、幹細胞を採取するためのドナー歯(不要な親知らずや生え替わりの乳歯など)が存在することが前提条件となります。

使用する材料
(MTAセメント等)について

歯髄の保護や再生治療においては、高い封鎖性と生体親和性を持つ特殊な材料を使用します。

MTAセメント・バイオデンチン

露出した歯髄の保護(覆髄)や、細胞移植後の根管上部の封鎖に使用します。硬化時に高いアルカリ性を示して優れた抗菌性を発揮し、生体組織と緊密に接着して細菌の侵入を防ぎます。

コラーゲン・G-CSF(細胞成長因子)

自己歯髄幹細胞を根管内に移植する際、細胞の足場となるコラーゲンや、組織の再生を促す薬剤を混和して使用します。

治療の流れ

Step01

ドナー歯の抜歯
・細胞培養の依頼

不要な親知らず等を抜歯し、専門の細胞培養加工施設へ輸送して歯髄幹細胞の抽出・培養・保管を行います。

1.ドナー歯の抜歯・細胞培養の依頼

Step02

根管内の清掃・除菌

移植予定の歯に対してマイクロスコープを用いた精密な根管治療を行い、細菌培養検査等で陰性を確認できるまで徹底的に除菌します。

2.根管内の清掃・除菌

Step03

自己歯髄幹細胞の移植

培養された幹細胞をコラーゲン等と混和して根管内に填入し、MTAセメントやコンポジットレジンで緊密に封鎖します。

3.自己歯髄幹細胞の移植

Step04

経過観察と形態修復

定期的なレントゲン撮影やCT検査、知覚検査(電気診・寒冷診)により、組織の再生と治癒状態を確認していきます。

4.経過観察と形態修復

治療のリスク・成功率の限界・予後の不確実性について

歯髄再生治療は自由診療(保険適用外)であり、厚生労働省への計画書届出および特定認定再生医療等委員会の審査を経て実施される治療です。
本治療を受けるにあたっては、以下の点をご理解いただく必要があります。

治癒反応の個人差

術前の根管内の感染状態や年齢などにより、組織の治癒傾向にはばらつきがあります。神経の知覚反応が回復するまでに数ヶ月を要する場合や、天然歯と比べて反応が弱いケースもあります。

組織再生の不確実性

根管内に再生された組織が完全な歯髄組織であるか、あるいは歯髄様組織・骨様組織であるかを臨床的に判別することは現時点では困難とされています。

再治療の可能性

十分な治癒傾向が得られない場合や再感染が生じた場合は、従来の根管充填や被せ物による治療への移行が必要となる場合があります。
治療後もお口全体の健康を維持し、トラブルを未然に防ぐため、定期的なメンテナンスへの通院が重要となります。カウンセリング時に利点と限界について十分にご説明し、ご同意をいただいた上で進めてまいります。